抵当権抹消登記の手続きで、提出する資料の中に「抵当権抹消登記申請書」があります。
「抵当権抹消登記申請書」は、一般的に抵当権抹消登記の手続きを含めて司法書士に依頼しますが、自分で作成しても問題ありません。
ただ、記入項目にどの情報を記入すればよいか悩んでいる方も多いです。
こちらでは、抵当権抹消登記申請書のダウンロード方法や書き方まで、わかりやすく解説しています。
- 抵当権抹消登記の手続きで必要な書類
- 抵当権抹消登記申請書のダウンロード方法
- 抵当権抹消登記申請書の書き方
抵当権抹消登記の手続きで必要な書類
抵当権抹消登記の手続きで必要な書類は以下の5つです。
- 登記識別情報(登記済証)
- 登記原因証明情報(弁済証書または解除証書)
- 資格証明情報(登記事項証明書)
- 代理権限証明情報(委任状)
- 抵当権抹消登記申請書
「弁済証書または解除証書」「登記済証(登記識別情報)」「委任状」「資格証明情報(登記事項証明書)」の4つは、住宅ローンを完済した際に金融機関から送られてきます。
資格証明情報(登記事項証明書)は、不要な場合もありますが、この中の「抵当権抹消登記申請書」だけは、自分で用意しなければいけません。
抵当権抹消登記申請書のダウンロード方法
抵当権抹消登記申請書の雛形は、法務局のホームページからダウンロードできます。
こちらでは、抵当権抹消登記申請書のダウンロード方法を説明します。
①法務局の不動産登記の申請書様式ページへアクセス
まずは、法務局の「 不動産登記の申請書様式」ページへアクセスします。
②3つの様式の中から1つ選んでダウンロード
法務局の不動産登記の申請書様式ページにアクセスすると、
- 抵当権抹消の場合
- 抵当権抹消(敷地権付き区分建物)の場合
の2つのパターンに別れています。
敷地権付き区分建物とは、分譲マンションなどの区分建物のことです。
2つの抵当権抹消登記申請書の違いは「不動産の表示」という項目で、専用部分と敷地権の内容が増えている点です。
分譲マンションを購入して抵当権設定をしていた場合は、「抵当権抹消(敷地権付き区分建物)の抵当権抹消登記申請書」を選択します。
抵当権抹消登記申請書の様式
抵当権抹消登記申請書の様式は、
- 一太郎
- Word
- PDF
の3つがあります。
パソコン環境で利用できる様式を1つ選んでクリックすると、抵当権抹消登記申請書がダウンロードできます。
ブラウザによっては、そのままファイルが開かれることがありますが、ダウンロードのボタンをクリックしてダウンロードします。
抵当権抹消登記申請書の書き方
こちらでは、抵当権抹消登記申請書の書き方を説明します。
ダウンロードしたファイルには、すでに記入されている項目もありますが、一から自分で作成する方にも分かりやすく全ての項目について説明していきます。
受付シールスペース
まず、抵当権抹消登記申請書をダウンロードして作成する方への注意点として、点線の枠部分には、何も書かないで下さい。
こちらは、提出時に受付シールを貼るスペースです。
一から自分で作成する方は、受付シールスペースを作る必要はありませんので、次へ進みましょう。
記入項目の確認
抵当権抹消登記申請書に記入する項目は、以下になります。
- 登記の目的
- 原因
- 権利者
- 義務者
- 添付情報
- 登記識別情報(又は登記済証)を提供することができない理由
- 申請日
- 申請人兼義務者代理人
- 登録免許税
- 不動産の表示
- 土地の不動産番号・所在・地番・地目・地積・順位番号
- 建物の不動産番号・所在・家屋番号・種類・構造・床面積・順位番号
- 不動産の表示(敷地権付き区分建物)
- 不動産番号
- 一棟の建物の表示(所在・建物の名称)
- 専有部分の建物の表示(家屋番号・建物の名称・種類・構造・床面積
- 敷地件の表示(符号・所在及び地番・地目・地積・敷地権の種類・敷地権の割合)
- 順位番号
ここからは、抵当権抹消登記申請書の書き方を項目ごとに説明していきます。
【記入①】登記の目的
登記の目的とは、どのような登記を申請するのか伝えるための項目ですので、「抵当権抹消(順位番号後記のとおり)」と書きます。
【記入②】原因
原因には、「抵当権が消滅した日とその原因」を書きます。
抵当権が消滅した日は、住宅ローンを完済した日付で、抵当権が消滅した原因は「解除」または「弁済」と書きます。
原因については、登記原因証明情報(弁済証書または解除証書)に記載されていますので、確認しましょう。
例えば、
- 令和1年9月1日,乙は平成20年9月1日受付第1234号抵当権を解除しました。
と記載されていたら、「令和1年9月1日 解除」と記入します。
【記入③】権利者
権利者には、「抵当権設定者である不動産所有者の住所及び氏名」を書きます。
通常は、登記事項証明書に記載されているとおりに記載します。
担保物件を提供する債務者(住宅ローンを借りた人つまり不動産所有者)
抵当権設定者(不動産所有者)は、不動産の登記事項証明書に記載されている所有者の住所及び氏名と一致している必要があります。
もしも、引越しや結婚により姓が変わった場合は、抵当権抹消登記の前に登記名義人住所・氏名変更登記が必要です。
また、複数人で共有している場合は、共有者全員の住所及び氏名を記入します。
【記入④】義務者
義務者には、「抵当権者である金融機関の住所・会社名・会社法人等番号・代表者名」を書きます。
債務を弁済できない際に、担保物件を売却して優先的に弁済を受けられる債権者(お金を貸した金融機関)
会社法人等番号については、作成後1ヶ月以内の金融機関の登記事項証明書(資格証明情報)を添付すれば、記載は不要です。
【記入⑤】添付情報
添付情報には、「添付する書類名」を書きます。
添付する書類は
- 登記識別情報(又は登記済証)
- 登記原因証明情報
- 資格証明情報(会社法人等番号)
- 代理権限証明情報
の4つです。
登記識別情報(又は登記済証)
登記識別情報の書類は、「登記済証」「抵当権設定契約証書」などが該当し、金融機関から送られてきます。
登記済証を提出した場合は、登記完了後に返却されます。
登記原因証明情報
登記原因証明情報の書類は、「弁済証書」「解除証書」「放棄証書」などが該当し、金融機関から送られてきます。
資格証明情報(会社法人等番号)
資格証明情報の書類は、金融機関の「登記事項証明書」「代表者事項証明書」などが該当し、金融機関から送られてきます。
「義務者」の欄に会社法人等番号を記載した場合は、添付する必要はありません。
「 【記入④】義務者」では、作成後1ヶ月以内の金融機関の登記事項証明書を添付すれば「会社法人等番号は不要」と説明しましたが、
- 会社法人等番号を記載して登記事項証明書を添付しない
- 登記事項証明書を添付して会社法人等番号を記入しない
のどちらか選択できます。(もちろん添付して会社法人等番号を記入してもOK)
代理権限証明情報
登記原因証明情報の書類は、「金融機関の委任状」で、金融機関から送られてきます。
【記入⑥】登記識別情報を提供することができない理由
登記識別情報を提供することができない理由 には、提供できない場合に以下の6項目のいずれかにチェックを付けます。
- 不通知
- 失効
- 失念
- 管理支障
- 取引円滑障害
- その他
「その他」にチェックを付けた場合は、()に理由を記入します。
登記識別情報(又は登記済証)を提供できない場合,「添付情報」欄には,「登記識別情報(又は登記済証)」を記入しないでください。
【記入⑦】申請日
申請日には、「法務局に申請書を提出する日付と対象の不動産を管轄する法務局名」を書きます。
【記入⑧】申請人兼義務者代理人
申請人兼義務者代理人には、「不動産所有者の登記簿上の住所・氏名・電話番号」を書きます。
「申請人兼義務者代理人」欄と「権利者」欄は同じ内容になります。
氏名の右側に、申請者の印鑑を押しましょう。(認印でOK)
【記入⑨】登録免許税
抵当権抹消登記の登録免許税は、1つの不動産につき1,000円で、土地と建物が1つずつであれば「2,000円」となります。
登録免許税は、登録免許税納付用台紙に収入印紙を貼り付けて納付します。
登録免許税納付用台紙については、【 登録免許税納付用台紙テンプレートと収入印紙の貼り方を解説! 】で詳しく解説していますので、確認ください。
【記入⑩】不動産の表示
不動産の表示には、「登記する不動産の情報」を書きます。
こちらには、不動産の登記事項証明書に記載されている内容をそのまま記入します。
不動産の表示の項目には、以下の欄があります。
土地
- 不動産番号
- 所在
- 地番
- 地目
- 地積
- 順位番号
建物
- 不動産番号
- 所在
- 家屋番号
- 種類
- 構造
- 床面積
- 順位番号
不動産の表示(敷地権付き区分建物)の場合は、以下の欄があります。
一棟の建物の表示
- 所在
- 建物の名称
専有部分の建物の表示
- 家屋番号
- 建物の名称
- 種類
- 構造
- 床面積
敷地権の表示
- 符号
- 所在及び地番
- 地目
- 地積
- 敷地権の種類
- 敷地権の割合
【不動産番号】
不動産番号には、「対象の不動産番号」を書きます。
不動産番号は、登記事項証明書やインターネット登記情報提供サービスに記載されていますので、確認しましょう。
不動産番号を記入した場合は
- 土地の所在,地番,地目及び地積
- 建物の所在,家屋番号,種類,構造及び床面積
の記載を省略することができます。
ただし、敷地権付き区分建物の場合は、不動産番号を記載したとしても、「敷地権の種類」「敷
地権の割合」の記載を省略することはできません。
【土地の所在,地番,地目及び地積】
【建物の所在,家屋番号,種類,構造及び床面積】
こちらには、「登記されている不動産の情報」を書きます。
【順位番号】
順位番号には、「抵当権の順位番号」を書きます。
順位番号については,登記識別情報通知書や登記事項証明書に記載されていますので、そちらの番号を記入します。
抵当権の順位番号は、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)の乙区に記載されています。
抵当権抹消登記の手続きの流れ
「抵当権抹消登記申請書」を書き終わったら、必要書類と合わせて管轄の法務局へ提出します。
抵当権抹消登記の手続きの流れについては【 誰でも簡単!抵当権抹消手続きを自分でする時の流れを分かりやすく解説 】で詳しくまとめていますので、ご確認ください。
まとめ
ここまで、抵当権抹消登記申請書のダウンロード方法や書き方を、わかりやすく解説しています。
どうしてもわからない点があれば、法務局へ問い合わせると教えてくれますので、内容に不安がある方は問合せましょう。
自分で抵当権抹消手続きを考えている方へ
抵当権抹消登記の費用相場を知りたい方へ
売買による登録免許税と計算方法を知りたい方へ
公衆用道路を購入したときの登録免許税の計算方法を知りたい方へ
公衆用道路が0円の登録免許税は非課税ではありません。公衆用道路の課税価格は近傍宅地単価から求めます。公衆用道路とはどのようなものか、公衆用道路の登録免許税の計算方法について分かりやすく解説。