住宅を購入・建築した場合は、すまい給付金を受けとることができます。
すまい給付金を受けとるには、いくつかの条件を満たさなければいけません。
条件内容は、対象者や住宅の種類で異なります。
こちらでは、すまい給付金の対象外とならないために、住まい給付金の条件について、わかりやすく解説しています。
- すまい給付金とは
- すまい給付金の対象者条件
- すまい給付金の住宅条件(新築住宅)
- すまい給付金の住宅条件(中古住宅)
すまい給付金とは
すまい給付金とは、『新築中古問わずに住宅を購入した人が、現金をもらえる制度』 のことです。
すまい給付金制度は、消費税率引上げによって住宅取得者の負担を緩和するために設けられた制度です。
似たような制度として住宅ローン控除がありますが、住宅ローン控除は、住宅ローンを多く借りられる収入が高い人ほど、軽減効果が高い性質があります。
そこで、すまい給付金制度では、住宅ローン控除で効果が小さい収入が低い方に対して、住宅ローン控除と合わせて負担を軽減させるために、収入が低い方ほど給付額が多くなっています。
ただし、収入が低くても誰もがもらえるわけではありません。
対象者の条件以外にも取得した住宅の条件も満たす必要があります。
すまい給付金の対象者条件と住宅条件
すまい給付金を受けとるには、「対象者条件」と「住宅条件(新築住宅・中古住宅)」のどちらも満たさなければいけません。
住宅条件には、さらに「新築住宅」と「中古住宅」で条件内容に違いがあります。
もしも、対象者条件は満たしているのに、住宅条件を満たしていない場合は、すまい給付金の対象外となります。
対象者条件 | ①住宅ローンを借りていること ※50歳以上で現金で住宅を取得した方も対象 ②収入が一定以下であること(目安775万円以下) ※50歳以上で現金で住宅を取得した方の目安は650万円以下 ③取得した住宅の居住者であること ④不動産登記上の持分保有者であること |
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住宅条件 | 新築住宅 | ①取得した住宅の床面積が50㎡以上であること ②第三者機関の検査を受けた住宅であること ・住宅瑕疵担保責任保険へ加入した住宅 ・建設住宅性能表示を利用する住宅 ・住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅 ※50歳以上で現金で住宅を取得した方はフラット35S基準 ③消費税率が適用されていること |
中古住宅 | ①取得した住宅の床面積が50㎡以上であること ②第三者機関の検査を受けた住宅であること ・既存住宅売買瑕疵保険へ加入した住宅 ・既存住宅性能表示制度を利用した住宅(耐震等級1以上) ・建設後10年以内で、住宅瑕疵担保責任保険に加入している住宅または、建設住宅性能表示を利用している住宅 ③消費税率が適用されていること |
すまい給付金の対象者条件
すまい給付金の対象者条件は、以下の4つです。
- ①住宅ローンを借りていること
- ②収入が一定以下であること
- ③取得した住宅の居住者であること
- ④不動産登記上の持分保有者であること
①住宅ローンを借りていること
まず、すまい給付金を受ける方が住宅ローンを借りていることが条件です。
すまい給付金は、そもそも住宅ローン控除で効果の小さい方の負担を軽減するためのものなので、住宅ローン控除を受けられない方は、対象外となります。
すまい給付金上の住宅ローンの定義
住宅ローンでもただローンを組めばいいというわけではなく、すまい給付金上では、以下のすべての条件を満たした住宅ローンが対象です。
- 自ら居住する住宅の取得のために必要な借入金であること
- 住宅ローンの返済期間が5年以上であること
- 金融機関等からの借入金であること
「金融機関等からの借入金であること」について、親族や知人からの借入金は、住宅ローンと見なされませんので、注意しましょう。
50歳以上は現金払いでも対象者
すまい給付金を受けとるには、住宅ローンを借りていることが条件ですが、50歳以上の方は、住宅ローンを借りずに住宅を取得した場合でも対象者となります。
②収入が一定以下であること
次に、収入が一定以下であることが条件です。
「一定以下」とは、扶養している人数によって収入額が変わりますが、収入額の目安としては、775万円以下の方が対象となります。
厳密には、都道府県民税の所得割額から給付基礎額が決定しますが、夫婦(妻収入なし)+中学生以下の子供2人の場合は、以下のようになります。
収入額の目安 | 都道府県民税の 所得割額 |
給付基礎額 |
---|---|---|
450万円以下 | 7.60万円以下 | 50万円 |
450万円超525万以下 | 7.60万円超9.79万円以下 | 40万円 |
525万円超600万以下 | 9.79万円超11.90万円以下 | 30万円 |
600万円超675万円以下 | 11.90万円超14.06万円以下 | 20万円 |
675万円超775万円以下 | 14.06万円超17.26万円以下 | 10万円 |
50歳以上で現金払いで取得した方
50歳以上で現金払いで取得した方は、住宅ローンを借りなくてもすまい給付金の対象者となりますが、収入については、以下の条件が追加されています。
- 収入額の目安は650万円以下
- 都道府県民税の所得割額が133,000円以下
50歳以上で現金払いで取得した方は、この2つの条件も満たさなければいけません。
夫婦(妻収入なし)の場合は、以下のようになります。
収入額の目安 | 都道府県民税の 所得割額 |
給付基礎額 |
---|---|---|
450万円以下 | 7.60万円以下 | 50万円 |
450万円超525万以下 | 7.60万円超9.79万円以下 | 40万円 |
525万円超600万以下 | 9.79万円超11.90万円以下 | 30万円 |
600万円超650万円以下 | 11.90万円超13.30万円以下 | 20万円 |
③取得した住宅の居住者であること
次に、取得した住宅の居住者であることが条件です。
例えば、子世帯のために住宅を取得した場合、親が住むための住宅でなければ、すまい給付金の対象外となります。
④不動産登記上の持分保有者であること
次に、不動産登記上の持分保有者であることが条件です。
例えば、親名義で取得した住宅に住んでいる方は、不動産登記簿上の持分保有者ではありませんので、すまい給付金の対象外となります。
もしも、二世帯住宅で不動産登記上、親・子で1/2ずつ登録している場合は、両者とも持分保有者になるため、すまい給付金の対象者となります。
すまい給付金の住宅条件(新築住宅)
すまい給付金の住宅条件には、「新築住宅」と「中古住宅」で条件内容が違います。
新築住宅のすまい給付金の住宅条件は、以下の3つです。
- ①取得した住宅の床面積が50㎡以上であること
- ②第三者機関の検査を受けた住宅であること
- ③消費税率が適用されていること
①取得した住宅の床面積が50㎡以上であること
まず、住宅の床面積が50㎡以上であることが条件です。
床面積は、「登記簿面積」から判断されます。
登記簿面積の計測方法
マンションの床面積は、階段や通路などの共有部分は含まず、「登記簿上の専有部分の床面積のみ」となりますが、戸建住宅とマンションでは、計測方法が異なるため注意が必要です。
戸建住宅の床面積は、壁の中心線で囲まれた部分の面積「壁芯面積」で、マンションの床面積は、壁の内側部分の面積「内法面積」で計測されます。
特に、マンションの床面積は、小さくなるので、床面積が50㎡ぎりぎりの場合は、注意が必要です。
店舗兼住宅を購入した場合
店舗兼住宅を購入した場合は、床面積の2分の1以上(50%以上)が居住用であれば、住宅ローン控除が適用されます。
例えば、住宅の床面積が160㎡で、店舗に利用する床面積が70㎡の場合、
で、居住部分の面積が2分の1以上(50%以上)となるため、住宅ローン控除の適用条件を満たしています。
②第三者機関の検査を受けた住宅であること
次に、第三者機関の検査を受けた住宅であることが条件です。
こちらは、施工中などに第三者の現場検査を受けて、一定の品質が確認された住宅でなければ、すまい給付金の対象外となります。
第三者機関の検査を受けた住宅とは、主に以下のいずれかの住宅になります。
- 住宅瑕疵担保責任保険へ加入した住宅
- 建設住宅性能表示を利用する住宅
- 住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅
こちらは、施工中に検査を行うため、着工前に事前に申込が必要となりますので、注意しましょう。
50歳以上で現金払いで取得した方
50歳以上で現金払いで取得した方は、さらに「フラット35Sの基準を満たす住宅であること」が追加条件となっています。
フラット35Sの基準を満たす住宅とは、以下の(1)から(4)うち、いずれか1つ以上の基準を満たす住宅のことです。
性能 | 住宅の種類 |
---|---|
省エネルギー性 | (1)省エネルギー性に優れた住宅(一次エネルギー消費量等級4以上または断熱等性能等級4) |
耐震性 | (2)(耐震等級2以上の住宅または免震建築物) |
バリアフリー性 | (3)バリアフリー性に優れた住宅(高齢者等配慮対策等級3以上) |
耐久性・可変性 | (4)耐久性・可変性に優れた住宅(劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2等) |
新築住宅を建築する場合は、証明書を発行してもらうために申請しなければけませんので、細かい基準については、第三者機関へ問い合わせましょう。
③消費税率が適用されていること
次に、消費税率が適用されていることが条件です。
消費税率とはつまり消費税10%で購入・建築した住宅であることが条件です。
新築の場合は、問題なく条件を満たしますが、中古住宅を個人から購入した場合は、消費税率が適用されないため、すまい給付金の対象外となることがあります。
すまい給付金の住宅条件(中古住宅)
中古住宅のすまい給付金の住宅条件は、以下の3つです。
- ①取得した住宅の床面積が50㎡以上であること
- ②既存住宅売買第三者機関の検査を受けた住宅であること
- ③消費税率が適用されていること
①取得した住宅の床面積が50㎡以上であること
まず、住宅の床面積が50㎡以上であることが条件です。
床面積は、「登記簿面積」から判断されます。
登記簿面積の計測方法
こちらもマンションの床面積は、階段や通路などの共有部分は含まず、「登記簿上の専有部分の床面積のみ」となりますが、戸建住宅とマンションでは、計測方法が異なるため注意が必要です。
戸建住宅の床面積は、壁の中心線で囲まれた部分の面積「壁芯面積」で、マンションの床面積は、壁の内側部分の面積「内法面積」で計測されます。
特に、マンションの床面積は、小さくなるので、床面積が50㎡ぎりぎりの場合は、注意が必要です。
②第三者機関の検査を受けた住宅であること
次に、第三者機関の検査を受けた住宅であることが条件です。
こちらは、第三者の現場検査を受けて、一定の品質が確認された住宅でなければ、すまい給付金の対象外となります。
第三者機関の検査を受けた住宅とは、主に以下のいずれかの住宅になります。
- 既存住宅売買瑕疵保険へ加入した住宅
- 既存住宅性能表示制度を利用した住宅(耐震等級1以上)
- 建設後10年以内で、住宅瑕疵担保責任保険に加入している住宅または、建設住宅性能表示を利用している住宅
③消費税率が適用されていること
次に、消費税率が適用されていることが条件です。
中古住宅を購入する場合、不動産業者を介した売買でも、売主が個人の場合は、消費税が課税されません。
よって、個人から購入した中古住宅は、すまい給付金の対象外となります。
売主が宅地建物取引業者である中古住宅を購入した場合は、すまい給付金の対象となります。
まとめ
ここまで、すまい給付金の対象外とならないために、住まい給付金の条件について、わかりやすく説明してきました。
住宅ローン控除を受けられる方で年収が少ない方は、まずはすまい給付金の条件を満たしているか確認しましょう。
よく分からないという方は、すまい給付金申請サポートがありますので、そちらに相談したほうが確実です。