マイホームを購入した際に、住宅ローン控除を受けるには、確定申告を行う必要があります。
確定申告の時期は「翌年2月中旬から3月中旬まで」ですが、対象者によっては、1月1日から住宅ローン控除の確定申告ができます。
今回は、住宅ローン控除の確定申告が「いつからいつまで」できるのか、確定申告の流れについて、分かりやすく解説していきます。
- 確定申告が必要な方と不要な方の違い
- 住宅ローン控除の確定申告はいつからいつまでか
- 住宅ローン控除の確定申告の流れ
- 給与所得者は2年目以降確定申告不要
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除(減税)とは 『住宅ローン年末残高の一定の割合に相当する金額を所得税や住民税から控除される住宅ローン減税制度』 のことです。
住宅ローン控除の確定申告をすることで、住宅ローン控除額を一定期間の間、所得税から差し引かれて還付されます。
所得税から控除できなかった場合は、更に住民税から控除される仕組みなっています。
確定申告とは?
確定申告とは 『1月1日から12月31日までの1年間の所得にかかる税金額を計算して、税務署へ確定申告書および必要書類を提出して、申告・納税する手続き』 のことです。
確定申告をすることで所得税を納めますが、誰でもしなければいけないものではありません。
公務員や会社員は年末調整
公務員や会社員の「給与所得者」の場合は、会社が給料から天引きして所得税を徴収しており、徴収した税額と本来徴収すべき所得税を比較して、過不足金額を調整しています。
この給料から所得税を徴収することを「源泉徴収」といい、過不足金額を調整することを「年末調整」といいます。
よって、公務員や会社員の方は、年末調整を会社が行ってくれますので、直接確定申告する必要はありません。
ただし、住宅ローン控除の還付手続きをする方は、給与所得者であっても初年度に確定申告をする必要があります。
確定申告が必要な方
確定申告が必要な方は、主に以下の方たちです。
- フリーランスや自営業の個人事業主
- 公的年金を受け取っている方
- 不動産収入や株取引などで所得のある方
- 住宅ローン控除や医療控除、ふるさと納税など受ける方
フリーランスや自営業の個人事業主
フリーランスや自営業の「個人事業主」は、毎年確定申告を行っていますので、確定申告書に住宅ローン控除額を反映させて、税務署へ提出すれば住宅ローン控除を受けられます。
個人事業主は、毎年住宅ローン控除の確定申告をする必要があります。
住宅ローン控除を受ける給与所得者
公務員や会社員の「給与所得者」は、年末調整で所得税を精算するため、通常確定申告の必要はありませんが、住宅ローン控除を受ける方は、初年度に確定申告が必要です。
2年目以降は、年末調整で住宅ローン控除を受けられるため、初年度だけ住宅ローン控除の確定申告を行いましょう。
2年目以降の住宅ローン控除については【 2年目の住宅ローン控除の確定申告は?必要書類の書き方マニュアル 】で詳しくまとめていますので、ご確認ください。
住宅ローン控除の確定申告はいつからいつまで?
住宅ローン控除の確定申告は、対象者によって期限が異なります。
個人事業主の確定申告時期
所得税を申告する確定申告の時期は、「翌年2月16日から3月15日まで」の期間です。(2020年の確定申告時期は2月17日~3月16日)
よって、個人事業主は、住宅ローン控除を受ける際も「翌年2月16日から3月15日まで」に確定申告をしなければいけません。
給与所得者の確定申告時期
給与所得者も初年度に住宅ローン控除の確定申告をしなければいけませんが、厳密に言えば確定申告ではなく「還付申告」になります。
還付申告の期間は、「その年の翌年1月1日から5年間まで」となっており、期間内であればいつ提出しても問題ありません。
例えば、2019年5月15日に新築住宅を購入したら、2020年1月1日から住宅ローン控除の確定申告(還付申告)ができます。
住宅ローン控除は、所得税から差し引けなかった分を住民税から控除できますので、「翌年1月1日から3月15日まで」には、住宅ローン控除の確定申告(還付申告)をしましょう。
特に、2月中旬から3月中旬の確定申告の時期は、個人事業主など多くの方が税務署を訪れて混雑しますので、翌年の1月からはやめに住宅ローン控除の確定申告をしたほうがいいです。
住宅ローン控除の確定申告の流れ
いつから住宅ローン控除の確定申告をすればよいか時期が分かったら、次は住宅ローン控除の確定申告の流れを説明します。
- STEP1必要な書類をそろえる住宅ローン控除の確定申告に必要な書類をそろえます。
- STEP2住宅借入金等特別控除額の計算明細書で住宅ローン控除額を求める「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」で住宅ローン控除額を計算します。
- STEP3確定申告書に記入する「確定申告書A」または「確定申告書B」に必要な情報を記入します。
- STEP4確定申告書に押印する確定申告書を記入したら押印をします。
- STEP5添付書類台紙に書類を貼り付ける「添付書類台紙」に必要書類を貼り付けます。
- STEP6管轄の税務署を調べる国税庁サイトから管轄の税務署を調べます。
- STEP7確定申告書と添付書類台紙を提出する管轄の税事務所へ確定申告書と添付書類台紙を提出します。
STEP1.必要な書類をそろえる
住宅ローン控除の確定申告(還付申告)では、給与所得者と個人事業主で、提出する必要書類に若干の違いがあります。
書類名 | 給与所得者 | 個人事業主 | 入手・依頼先 |
---|---|---|---|
確定申告書A | ● | 税務署、国税庁HP | |
確定申告書B | ● | 税務署、国税庁HP | |
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | ● | ● | 税務署、国税庁HP |
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 | ● | ● | 借入先の金融機関 |
源泉徴収票(平成31年4月1日以後の確定申告では、添付不要になりました。) | 勤務先 | ||
土地や建物の登記事項証明書 | ● | ● | 法務局 |
土地や建物の売買契約書または建築請負契約書【写し】 | ● | ● | 本人 |
本人確認書類【写し】 | ● | ● | 本人 |
※本人確認書類・・・マイナンバーカード、または(マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票)+(運転免許証やパスポートなどの本人確認書類) |
必要書類の詳細や入手方法については【 住宅ローン控除の確定申告時の必要書類は?入手先も分かりやすく紹介 】をご確認ください。
年末にならないと集められない書類もありますが、マイホームを購入したときから集められる資料は集めておきましょう。
STEP2.計算明細書で住宅ローン控除額を求める
確定申告書を記入する前に、まずは、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を使って、住宅ローン控除の控除額を求めます。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書とは 『住宅ローン控除額を計算するための明細書』 です。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書で求めた住宅ローン控除額を確定申告書へ転記します。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書の書き方について詳しく知りたい方は【 住宅借入金等特別控除額の計算明細書の書き方まとめ!記入例も公開 】をご確認ください。
STEP3.確定申告書に記入する
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」で住宅ローン控除額を求めたら、確定申告書に記入していきます。
確定申告書には、「確定申告書A」と「確定申告書B」の2つがあります。
公務員や会社員の方は、基本的に「確定申告書A」を利用して住宅ローン控除の還付申告をします。
自営業やフリーランスなど個人事業主の方は、「確定申告書B」を利用して住宅ローン控除の確定申告をします。
住宅ローン控除を受けるための「確定申告書A」「確定申告書B」の書き方については【 住宅ローン控除の確定申告書の書き方マニュアル!記入例の見本も公開 】で詳しく解説していますので、こちらをご確認ください。
STEP5.添付書類台紙に書類を貼り付ける
確定申告書に押印したら、添付書類台紙に提出する必要な書類を貼り付けます。
年・住所・氏名
添付書類台紙には、年・住所・氏名の欄がありますので、それぞれに記入します。
必要書類の貼り付け方法
添付書類の貼り付け方に、統一されたルールはありません。
糊付け・セロハンテープ・ホッチキスどれでもよいという情報もあれば、税務署の担当者がセロハンテープ・ホッチキスはすべて外して糊付けするという情報もあります。
持参する場合は、直接税務署で聞いてから貼り付けたほうが間違いないですが、郵送する場合は、糊付けして貼り付けたほうが無難です。
添付書類台紙と同じサイズ以上の書類は台紙の後ろにホッチキスで止めて提出しましょう。
STEP6.管轄の税務署を調べる
住宅借入金等特別控除額計算明細書と確定申告書の記入・押印が終わったら、土地や建物がある住所地管轄の税務署へ提出します。
提出先が分からない場合は、以下の国税庁サイトで、郵便番号・住所・地図から管轄の税務署を調べることができます。
郵便番号から調べる
郵便番号から調べる場合は、マイホームがある住所の郵便番号を入力して「検索」をクリックします。
すると、管轄する税務署ページのリンクと、電話番号が表示されます。
住所から調べる
住所から調べる場合は、マイホームがある住所の都道府県を選択後、市区町村・町名を入力して「検索」をクリックします。
すると、管轄する税務署ページのリンクと、電話番号が表示されます。
地図から調べる
地図から調べる場合は、地図にある都道府県をクリックします。
すると、クリックした都道府県の税務署一覧が表示されます。
それぞれの税務署に管轄地域が掲載されていますので、マイホームがある住所の市区町村をチェックして該当する税務署を探しましょう。
STEP7.確定申告書と添付書類台紙を提出する
管轄する税務署が分かったら、確定申告書と添付書類台紙を提出します。
確定申告書を提出方法は、以下の3つの方法があります。
- 税務署へ直接確定申告書を提出する
- 郵送で確定申告書を提出する
- 電子申告(e-Tax)を利用して、確定申告書を提出する
税務署へ直接確定申告書を提出する
税務署へ直接持ち込んで確定申告書を提出する場合は、分からないことを直接質問できるメリットがありますが、確定申告時には多くの方が訪れるので、混雑することが予想されます。
郵送で確定申告書を提出する
郵送で確定申告書を提出する場合は、封筒や切手代がかかりますが、郵送すれば完了ですので、手続きに時間がかからないのがメリットです。
電子申告(e-Tax)を利用して、確定申告書を提出する
電子申告(e-Tax)は自宅でも確定申告ができる方法で便利ですが、マイナンバーカードに組み込まれている「公的個人認証サービスに基づく電子証明書」などの電子証明書の取得や、ICカードリーダライタが必要な場合があります。
会社員の方は、住宅ローン控除の確定申告は1年目だけで済むので、税務署へ直接提出あるいは、郵送で提出のいずれかがよいでしょう。
給与所得者は2年目以降の確定申告が不要
公務員や会社員の給与所得者は、2年目以降の確定申告は、年末調整で住宅ローン控除の手続きをするため不要と説明しましたが、年末調整の際に必要となるのが、以下の2つの書類です。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼証明書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
給与所得者や個人事業主の2年目以降の確定申告・年末調整の方法については、以下で詳しく解説していますので、ご確認ください。
給与所得者の方
2年目の住宅ローン控除の確定申告は?必要書類の書き方マニュアル
- 給与所得者の住宅ローン控除の確定申告
- 2年目以降は確定申告不要
- 住宅ローン控除を受けるための年末調整の流れ
- 年末調整に必要な2つの書類
個人事業主の方
自営業の住宅ローン控除は2年目以降も確定申告が必要!
- 自営業の住宅ローン控除の確定申告
- 2年目以降も確定申告が必要
- 2年目以降の確定申告に必要な書類
- 2年目以降の住宅ローン控除確定申告の流れ
まとめ
ここまで、住宅ローン控除の確定申告が「いつからいつまで」できるのか、確定申告の流れについて、わかりやすく説明してきました。
給与所得者にとっては、初年度だけの確定申告で分からないことも多いですが、確定申告は源泉徴収票からの転記が多いため、そこまで難しくありません。