ウッドデッキの使い方で主婦が強く希望するのが、洗濯物や洗濯が干せるスペースです。
雨の日でも干せるように屋根付きやサンルームがあると便利ですが、費用の面であきらめてしまう方も多いです。
「 ウッドデッキの9つの使い方と目的別に考える4つの重要ポイント」では、ウッドデッキの使い方を具体的にイメージして、目的が明確になれば、考えるポイントが決まると説明しました。
今回、洗濯物や布団を干すスペースとしてのウッドデッキ作りで考える項目は、こちらになります。
- 動線計画と設置場所(生活動線・家事動線・来客動線の3つの動線を考える)
- アイテムの有無(落下防止用フェンスや屋根・パラソル、テーブル・チェアなど)
- 木材選び(耐久年数・床板表面の状態など)
- 必要な広さ(アイテムを置けるスペースも考慮する)
- 家事がしやすい家事動線を考える
- 予算と必要性を考えながら屋根やサンルームを付けるか検討する
- 物干しアイテムのどのタイプを選ぶか検討する(壁付けタイプは下地補強チェック)
- 干す以外の使い方はないか検討する
- 近隣の視線が気になるなら目隠しフェンスをつけるか検討する
こちらでは、洗濯物や布団を干すスペースとしてウッドデッキを作る方向けに、一つ一つ説明しながら具体的なウッドデッキプランを完成させていきます。
①動線計画と設置場所
動線計画では、快適な生活を送るために、人の移動経路を考えて決めていきます。ウッドデッキ作りで考える動線は「生活動線」「家事動線」「来客動線」の3つです。
- 生活動線・・・日常生活で人が家の中を移動するルート
- 家事動線・・・家事をする人が家事をする時に通るルート
- 来客動線・・・客人が通るルート
洗濯物や布団干しスペースとしてウッドデッキを考えている方は、とくにこの動線が重要ですので、家事がしやすい動線計画を立てましょう。できるだけ家事が楽な動線計画を立てましょう。
洗濯作業の流れ
洗濯作業の流れは、洗濯機で洗う・ウッドデッキで干す・洗濯物を畳む・洗濯物を収納するの4つの工程があります。
階段の上り下りがあると縦に動線が伸びてとても長くなります。大家族であれば、水分を含んだ洗濯物を運ぶのは重労働です。
動線を考えるときは、まずは4つの工程と以下の考えるポイントから考えてみましょう。
家事動線で考えるポイント
ウッドデッキを洗濯物や布団干しスペースに使う場合、家事動線で考えるポイントはこちらです。家事動線は短ければ短いほど家事はスムーズで無駄のないものになります。
- 日当たり
- 洗濯機からの距離
- 洗濯物を畳む場所
- 階段
- 来客時の目隠し
日当たり
ウッドデッキを洗濯物や布団干しスペースに使う理由は大きく以下の2つです。
- 日当たりのいい場所で早く乾かすため
- 乾かす場所がないため
日当たりのいい場所に干せば当然早く乾くので、ウッドデッキは最適ですが、実は意外と多いのが、乾かす場所がないという理由です。
予算の関係で利用するお部屋も決まっていて、ベランダもつけない家も多いです。そうなると外ということで、ウッドデッキを設ける人が多いです。
もしも日当たりを気にしてウッドデッキを付ける目的であれば、当然日が当たる南側に設置しましょう。
もしも乾かす場所がないという理由なら最悪東西北でも問題ありません。乾きにくいというわけでまったく乾かないということではないので、乾かす場所の確保であれば、どの方角でもいいでしょう。
洗濯機からの距離
洗濯はほぼ毎日の作業で大変です。洗濯機から干す場所までの距離が長ければ毎日大変な思いをして洗濯物を干さなければいけません。なるべき作業を効率よくするには近くに配置してあげるのが親切です。
洗濯物を畳む場所
洗濯物を畳む場所も意外と考えなければいけないポイントです。先ほど洗濯機から距離が遠いとNGと話をしましたが、洗濯物が乾いた後に畳む場所まで運ばなければいけません。そこまでの距離も遠いと家事が大変なので、近い場所を考えてウッドデッキを設置しましょう。
一般的にリビングの前にウッドデッキを設置する家が多いですが、その場合はリビングで洗濯物を干すのかを考えましょう。
階段
例えば、2階に洗濯機を置いている場合、2階にウッドデッキがあればいいですが、1階に設置するとわざわざ1階まで降りなければいけません。動線が長くなりがちなので、洗濯機の場所・干す場所・畳む場所は同じ階にしたほうがスムーズです。
来客時の目隠し
例えば、リビング前にウッドデッキを作って洗濯物を干していた場合、お客さんをリビングに通すと洗濯物が丸見えです。
洗濯物が見えないようにカーテンを閉めるか、なにか目隠しを考える必要があります。もしくは、来客の予定があるのであれば、帰った後に干したり、他の部屋で部屋干しするなどどう対応するのかを考えましょう。
庭の一部としての使い方
リビングの延長ではなく、庭の一部として子供達が遊べるように低く作られたウッドデッキです。土遊びで汚れてしまってもお構いなしですが、子供達が楽しく遊べる空間になっています。
- 部屋とウッドデッキを行き来する動線(部屋の中で遊ぶイメージ)
- 裸足で出入りできる
- 部屋と床面をフラットにする
- 子供が楽しく遊べるだけのスペースを確保
- 落下防止用フェンスの取り付けを検討する
- 玄関・勝手口からウッドデッキを行き来する動線(家の外で遊ぶイメージ)
- 靴を履いて出入りする
- 高さは低いほうが使いやすい
- 小さなサイズでも十分遊べる
- 落下防止用フェンスを取り付ける必要がない
このように部屋の延長か庭の一部かで、ウッドデッキの作り方が変わってきますので、まずはどちらのタイプにするのか決めましょう。
設置場所
庭の一部タイプ
ウッドデッキを庭の一部として利用する場合の設置場所はもちろん「庭」です。
一般的に外壁側にくっつけてウッドデッキを設置することが多いですが、庭が広ければ独立してウッドデッキを作ることもできます。
こちらは、広い庭に独立してウッドデッキを設置した事例です。夏は花火が見れたり憩いの場としても利用されています。
部屋の延長タイプ
ウッドデッキを部屋の延長として利用する場合は、リビングから出入りできる場所に設置することが多いです。
- リビングの延長として開放感のある空間になる
- 子供が遊んでいても目が届きやすい
- リビング側に庭があることが多く、設置できる場所がそこしかない
リビングは生活の中心で一日の大半を過ごす場所です。庭に面した場所に設置することが多く、何よりも子供が遊んでいても目が届きやすいことが大きな理由となっています。
方角
子供が遊ぶことを考えれば、東西南北どの方向であっても支障はありませんが、日がよくあたる真夏日では、熱中症になったり素足で遊ぶと床面が高温で、火傷する恐れもあります。
そういった場合は、パラソルやシェードなどアイテムを使ってカバーできるので、設置場所は子供の安全面から目が届きやすい場所に設置するのがよいでしょう。
近隣の環境
目が届きやすいリビングから出入りできる場所でも、お隣のリビングの近くや隣地境界線ギリギリの場所であれば、避けたほうが無難です。
子供に十分言い聞かせて遊ばせてもいいですが、他に設置できる場所があれば、そちらを検討しましょう。
複数の部屋からのアプローチ
動線は1箇所ではなく、コの字型の欠けた部分や横並びの2つの部屋にまたがってウッドデッキを設置すれば、いくつもの動線が考えられます。複数動線があれば、どのように使うのかをしっかり考えましょう。
④アイテムの有無
動線計画と設置場所が決まったら、安全かつ快適な子供達の遊び場にするためのアイテムを検討していきます。
落下防止用フェンス
ウッドデッキの高さがある場合は、子供が過って落ちてしまう恐れがあるので、落下防止用フェンスを取り付けてください。高さが低く、危険性がなければ不要ですが、近隣の視線が気になる場合は、目隠し用フェンスとしての設置も検討しましょう。
また、横板や格子状タイプのフェンスは、かえって子供がフェンスによじ登り危険ですので、板は縦向きのタイプを選んでください。
シェード・オーニング・パラソル
真夏のウッドデッキの表面温度は60度を超えることもあり、素足では火傷をする恐れがあります。子供に履物を履かせても座って遊べば、手が床面に触れたり熱中症にもなるので、真夏日には遊ばせないか、シェード・オーニング・パラソルなど日よけアイテムを設置しましょう。
- シェード・・・簡易な日よけ
- オーニング・・・可動式テント
- パラソル・・・大きな日傘・雨傘
オーニングは工事が必要な場合もあり、パラソルは保管エリアの確保が大変なので、邪魔にならず安価なシェードがオススメです。
・邪魔にならず価格が安いシェードがオススメ
ビニールプール
ウッドデッキの遊び方の定番と言えば、ビニールプールです。ビニールプールの形状は、丸型と四角型がありますが、スペースを有効活用するなら四角型がオススメです。
サイズ | ビニールプールで遊べる人数 |
---|---|
85cm×85cm | 1~2人用 |
160cm×100cm | 1~2人用 |
200cm×145cm | 2~3人用 |
260cm×170cm | 3~5人用 |
300cm×180cm | 5~6人用 |
こちらは、人数に対してのビニールプールの大きさの目安です。
ビニールプールのサイズによって、ウッドデッキのサイズが変わりますので、ビニールプール設置を考えている方は、どのサイズにするのかを決めましょう。
また、大型のビニールプールを置く場合は、水が重すぎてウッドデッキの耐荷重を超える危険性もあります。
300cm × 180cm × 50cm ÷ 1000 = 2,700L ≒ 2,700kg
2,700kg ÷(3.0m×1.8m)=500kg/㎡
住宅床の積載荷重が180kg/㎡で、「リウッドデッキ200」「樹ら楽ステージ」などメーカーが販売しているウッドデッキも180kg/㎡仕様で作られています。500kg/㎡は当然耐えられませんので、根太を増やして強度を強くしなければいけません。
ウッドデッキメーカーや施工業者へ「どれぐらいで考えたらよいか」と問い合わせても明確な答えをもらえない可能性が高いですが、念のため確認しましょう。
・大型の場合は、業者に確認してウッドデッキの耐荷重を超えないかチェックする
立水栓
⑤木材選び
ウッドデッキの材料には、大きく分けて人工的に作られた「樹脂木」と自生で育った「天然木」の2つがあります。さらに、天然木は柔らかい木材「ソフトウッド」と堅くて耐久性のある木材「ハードウッド」の2種類に分かれます。
この「樹脂木」「ソフトウッド」「ハードウッド」の中から木材を選んでいきますが、子供の遊び場で木材を選ぶポイントは、耐久年数と床板表面の安全性です。
メンテナンスの手間がいやな人向け
まず、樹脂木と天然木のどちらを選ぶかですが、メンテナンスの手間をかけたくない人は樹脂木のウッドデッキを選んでください。
天然木は、時間が経過するとササクレやひび割れがでてきます。子供達が安全に遊ぶためには、サンドペーパーをかけて定期的なメンテナンスが必要です。
樹脂木は、まったくゼロではないですが、反りやゆがみ・ささくれ・割れが少ないのが特徴でメンテナンスの手間がかかりません。耐久性の面では、どのメーカーも遜色がないので、どの樹脂製ウッドデッキにするか価格や特徴から検討しましょう。
子供の遊び場メイン、安全で安く作りたい人向け
子供の遊び場をメインに考える場合、15年ぐらい長持ちしてソフトウッドの中でも耐久性が高い「ウエスタンレッドシダー」がオススメです。
ソフトウッドはハードウッドよりササクレやトゲが出にくい特性を持っており、安価なので安く費用を抑えたい方は、ウエスタンレッドシダーを選びましょう。
子供の遊び場以外でも使う人向け
子供の遊び場としての役割が終わったあとでもウッドデッキを使う場合は、12年以上長持ちするウッドデッキ材が必要です。20年以上使うなら、ハードウッドを選択しましょう。
ハードウッドの中で選ぶなら床板表面の安全性が必要ですので、油分を多く含みささくれやヒビ割れが少ないイタウバがオススメです。
⑥必要な広さ
ウッドデッキの材料が決まったら、ウッドデッキの広さを決めていきますが、まず広さについてイメージしやすいように畳のサイズを確認しましょう。
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畳の長さや面積を確認したら、どれぐらいの広さが必要かを考えていきます。
- どんな遊びをするのか?
- 何人で遊ぶのか?
- ビニールプールで遊ぶのか?
- アイテムは何を使うのか?
おままごとなら1~2畳でも十分で、男の子同士で武器で決闘したり走り回るには4~6畳ぐらいはあったほうがよいです。6畳ぐらいであれば、一回り大きい3m×4mぐらいを目安に考えてみてください。
ビニールプール設置に必要なウッドデッキ床面積
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こちらは、ビニールプールで遊べる人数に対してのウッドデッキの広さをまとめたものです。ビニールプールが入る広さは水が周りにかかることも考えて、ふた回りぐらいの広さがあるとよいです。
- 1~2人用:2.5m×2.5m、2.5m×3.5m
- 2~3人用:3.5m×3.5m
- 3~~6人用:4.5m×3.5m
フェンスやアイテムも考慮
更に落下防止用フェンスやアイテムを設置する場所も考慮します。落下防止用フェンスは柱180角を使用するとして20cmほど大きなサイズにしましょう。
- 1~2人用:2.7m×2.7m、2.7m×3.7m
- 2~3人用:3.7m×3.7m
- 3~~6人用:4.7m×3.7m
実際の大きさは材料を決めてから
ここでは、4m×6mのようにだいたい必要な大きさを算出してください。実際に計画するサイズについては、最終的にウッドデッキに使用する木材が決定してからです。
なぜかというと、木材によって長さの規格が微妙に異なるからです。例えば、イタウバ材の一般的な長さ規格には2m・2.1m・2.4m・2.7mなどがあります。幅が2.5mのウッドデッキを作る場合は2.7mのイタウバ材を購入して、20cmカットする必要があります。
木材はなるべく規格サイズで合わせたほうがカットの手間や費用がかからないので、ここでは、どれぐらいの大きさになるかをまずは決めましょう。
⑦木材も広さも最後は価格で決める
子供の遊び場としてオススメなウッドデッキ材や広さが分かっても、気になるのがやっぱり価格です。予算を大きく超えていれば、材料を変更するか、広さを小さくしなければいけません。
今回、オススメとして「ウエスタンレッドシダー」「イタウバ」を挙げましたが、最終的にどの木材に決定するかは、他の木材について知らなければいけません。他の木材については、「ウッドデッキ材の情報一覧」に詳しくまとめていますので、そちらを確認しましょう。
ウッドデッキレイアウト集
最後に、まだ考えがまとまらない方向けに実際に子供の遊び場としてウッドデッキを使用している事例を紹介していきます。良い部分があれば、どんどん取り入れて失敗しないウッドデッキプランにしましょう。
フェンス付きウッドデッキ
子供用滑り台が置かれているウッドデッキです。隣地境界線側には、目隠し用の高いフェンスでそれ以外は低いフェンスと使い分けて設置しています。
しかし、フェンスが横板タイプなので、小さなお子さんの場合はよじ登って落ちてしまう可能性もあるので、親御さんの注意が必要ですね。
ベランダにウッドパネル
こちらではウッドパネルを使ってベランダを子供の遊び場にしています。ウッドパネルは施工もラクラクで、子供でもお手伝いがで簡易的なウッドデッキです。
夕食をベランダで食べている姿が微笑ましいですね。
ウッドデッキと人工芝で快適な遊び場に
こちらは、マンション屋上のルーフバルコニーに、子供の遊び場としてウッドデッキを設置しています。夏の陽射し対策でシェードが取り付けられる柱も完備しており、まさに子供が快適に遊べる空間となっています。
『ルーフバルコニーで子供を遊ばせたい!』 ハードウッドで囲まれた快適遊び場空間!
子供たちがおもいっきり遊べるお庭
こちらは、敷地境界線いっぱいにウッドデッキを作った事例です。フェンスは敷地境界線上のフェンスを活用しており、隣地境界線側だけ目隠し用のフェンスをとりつけています。
2段の階段も設けていて、別の用途でも利用されていますね。
子供たちがおもいっきり遊べるお庭全面ウッドデッキにリフォーム
子供の笑顔があふれる外空間
こちらは、2つの部屋から出入りができるようにしています。デッキ高さも低いので、フェンスなしで庭にも出られるようにステップも設けられています。
レジャーシートと小さなテーブルがあるだけで、楽しく遊んでいるのが目に浮かびますね。
まとめ
ここまで、子供の遊び場としてのウッドデッキプランの立て方を説明してきました。
具体的にウッドデッキプランが固まりましたか?
改めてポイントを整理します。
周辺環境への配慮を第一にウッドデッキを作るべきか考える
②使用期間とその後の使い方何年利用するかで、使用する材料が変わり、その後の使い方の検討も必要
③動線計画と設置場所ウッドデッキを部屋の延長として使うか、庭の一部として使うかを決める
④アイテム落下防止用フェンスは、縦板タイプを選択。真夏日には遊ばせないか、日よけアイテムを設置。ビニールプールのサイズでウッドデッキのサイズが決まる
⑤木材選び手間をかけたくないなら樹脂木のウッドデッキ。子供の遊び場メイン、安全で安く作りたいならソフトウッドの「ウエスタンレッドシダー」。長く使うならハードウッドの「イタウバ」がオススメ
⑥必要な広さはしゃいで遊べるスペースは3m×4mぐらいを目安
⑦木材も広さも最後は価格予算を超えていたら、他の木材や広さを再検討する
ポイントをしっかり押さえていけば、失敗しません。子供の遊び場としてウッドデッキプランがまとまったら、次はウッドデッキ作りの知識を学んでいきましょう。