カーポートの屋根材としてよく使われるのが、ポリカーボネートです。
カーポート以外にも、バルコニーやテラスの屋根材としても使われます。
こちらでは、屋根材「ポリカーボネート」の特徴や3大メーカーであるLIXIL・YKKAP・三協アルミのポリカーボネートカーポートの違いについて、分かりやすく解説していきます。
ポリカーボネートとは
ポリカーボネートとは 『プラスチック素材の一つで、耐衝撃性、耐熱・耐寒性、透明性、加工性にすぐれた素材』 で、「ポリカ」や「PC」と省略して呼ばれることもあります。
ポリカーボネートは、カーポートの屋根材として利用されますが、それ以外にもCD・DVD・Blu-rayディスクの基板、窓や浴室灯などにも使われます。
ポリカーボネートの特徴
ポリカーボネートには、主に以下の3つの特徴があります。
- 衝撃強度
- 透明度
- 耐熱・耐寒性
- 耐候性
衝撃強度
ポリカーボネートの特徴としてよく挙げられるのが衝撃強度が高く割れにくいことです。
ポリカーボネートの強度は、ガラスの約200倍、アクリルの約30倍、硬質塩化ビニルの約20倍の強さがあり、非常に粘りのある屋根材です。
昔のカーポートの屋根材は、アクリル板が多かったですが、アクリル板は割れやすいことから、ポリカーボネートに変わり使われなくなりました。
透明度
ポリカーボネートとは、エンジニアリングプラスチックの一種で、エンジニアリングプラスチックの中でもよく使われる5つを5大エンプラや汎用エンプラと呼ばれます。
- PA(ポリアミド)
- PC(ポリカーボネート)
- ポリエステル(PBT, PET)
- POM(ポリアセタール)
- 変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)
ポリカーボネートは、5大エンプラの一つで、唯一の透明素材でもあります。
しかし、高い透明度をもっており、カーポートの屋根材以外にも窓にも使われます。
カーポートの屋根材では、透明度を比較基準として数値が公開されています。
LIXILでは「全光線透過率」、YKKAPでは「可視光線透過率」、三協アルミでは「紫外線カット率」と表現されていますが、どれも同じ意味合いです。
全光線透過率や可視光線透過率とは、どれだけ光を通すか明るさを表したものです。
耐熱・耐寒性
ポリカーボネートは、耐熱・耐寒性が高く、-100℃~130℃でも高い耐性を持っている素材です。
真夏の暑さや冬の寒さでも耐えうる素材で、カーポートの屋根材としても適しています。
耐候性
ポリカーボネートは、耐候性に優れており、屋外での使用に向いている素材です。
長時間屋外で使用しても日光や雨による劣化が少ないのが特徴です。
ポリカーボネート屋根材の機能
カーポートの屋根材に使われるポリカーボネートには、ポリカーボネートの特徴以外に以下の機能を有した屋根材もあります。
- 紫外線をカット
- 赤外線を半減
- 光触媒による汚れ付着防止
紫外線をカット
ポリカーボネートに特殊なコーティングを施すことで、有害な紫外線をほぼ100%カットする屋根材もあります。(UVカット約100%)
人の体に害を及ぼす紫外線は、車にも動揺に影響を与えます。
例えば、塗装や色あせ、車内シートの日焼けはこの紫外線の影響です。
特殊なコーティングを施したポリカーボネートは、この紫外線をカットすることで塗装や色あせ、車内シートの日焼けなどを防止します。
紫外線をカットする素材は、どのメーカーでも標準で付いており、LIXIL・YKKAP・三協アルミのポリカーボネートカーポートはほぼ100%カットされています。
LIXILでは「UVカット」、YKKAPでは「UV透過率」、三協アルミでは「紫外線カット率」と表現されていますが、どれも同じ意味合いです。
ただし、YKKAPでは紫外線カット率ではなく紫外線透過率で表現しているため、ほぼ0%で数値化されています。
赤外線を半減
カーポートのポリカーボネートの中には、赤外線を半減する屋根材も販売されています。
LIXILでは「熱線吸収ポリカーボネート」、YKKAP・三協アルミでは「熱線遮断ポリカーボネート」と呼ばれているものです。
「熱線吸収ポリカーボネート」「熱線遮断ポリカーボネート」は、暑さの原因となる赤外線の熱量を半減し、真夏の車内温度の上昇を抑える効果のある屋根材です。
光触媒による汚れ付着防止
LIXILでは「熱線吸収アクアポリカーボネート」、三協アルミでは「熱線吸収防汚ポリカーボネート」という屋根材で販売されているカーポートがあります。
どちらも、光触媒により汚れ付着防止する屋根材です。
光触媒は、太陽などの光が当たると、その表面で強力な酸化力が生まれて、屋根材に汚れをこびりつかせる原因となる有機物などを除去することができる環境浄化材料です。
太陽光と降雨により、雨が汚れを浮かせて流し落とすことができる機能的な屋根材です。
3大メーカーの比較
3大メーカーであるLIXIL・YKKAP・三協アルミのポリカーボネートカーポートを比較したものが以下になります。
屋根材 | カラー | 全光線透過率 | 熱線カット率 | UVカット | 防汚加工 |
---|---|---|---|---|---|
ポリカーボネート板 | クリアブルー(透明) | 31% | 37% | 約100% | – |
ライトブラウン(透明) | 不明 | 不明 | 約100% | – | |
クリアブラウン(透明) | 49% | 34% | 約100% | – | |
クリアマット(すりガラス調) | 83% | 20% | 約100% | – | |
熱線吸収ポリカーボネート板 | クリアブルー(すりガラス調) | 16% | 48% | 約100% | – |
クリアブルーS(すりガラス調) | 不明 | 不明 | 約100% | – | |
ブルーマットS(すりガラス調) | 17% | 52% | 約100% | – | |
クリアマットS(すりガラス調) | 80% | 36% | 約100% | – | |
熱線吸収アクアポリカーボネート板 | クリアブルー(透明) | 15% | 49% | 約100% | ○ |
クリアブルーS(透明) | 80% | 36% | 約100% | ○ |
屋根材 | カラー | 可視光線透過率 | 熱線カット率 | UV透過率 |
---|---|---|---|---|
ポリカーボネート板 | アースブルー | 26% | 不明 | ほぼ0% |
スモークブラウン | 28% | 不明 | ほぼ0% | |
トーメイマット | 85% | 不明 | ほぼ0% | |
熱線遮断ポリカーボネート板 | アースブルー(マット調) | 16% | 不明 | ほぼ0% |
クリアマット | 76% | 不明 | ほぼ0% |
屋根材 | カラー | 熱線(赤外線)カット率 | 可視光線透過率 | 紫外線カット率 |
---|---|---|---|---|
ポリカーボネート板 | ブラウンスモーク(BR) | 約45% | 約35% | 約100% |
ブルースモーク(AO) | 約40% | 約20% | 約100% | |
クリア(CL) | 約15% | 約87% | 約100% | |
ポリカーボネート板(かすみ調) | かすみ(SI) | 約16% | 約88% | 約100% |
熱線遮断ポリカーボネート板 | ブルースモーク(AO) | 約83% | 約11% | 約100% |
熱線遮断ポリカーボネート板(かすみ調) | かすみ(SI) | 約70% | 約76% | 約100% |
熱線吸収防汚ポリカーボネート板 | クリア(CL) | 約37% | 約79% | 約100% |
数値を比較すると三協アルミの熱線遮断ポリカーボネート板(ブルースモーク)は、熱線カット率が約83%と高いカット率となっています。
ただし、LIXILと三協アルミの実験データを比較するとそこまで大きな差はありません。
測定部 | 直射日光下 | ポリカーボネート板(クリアブルー) | 熱線吸収ポリカーボネート板(クリアブルー) |
---|---|---|---|
車内温度 | 62℃ | 50℃ | 46℃ |
ダッシュボード | 77℃ | 58℃ | 51℃ |
計測条件 | 7月上旬、気温35度 |
測定部 | 直射日光下 | ポリカーボネート板 | 熱線遮断ポリカーボネート板 |
---|---|---|---|
車内 | 61.6℃ | 50.3℃ | 43.9℃ |
ダッシュボード表面 | 91.2℃ | 65.9℃ | 50.3℃ |
計測条件 | 7月28日、気温34~36度 |