住宅を建築するときは、外構部分に車庫を作りたいと考えることも珍しくありません。
しかし、建築物は土地に対して建てる割合が決まっています。
土地に対して建てる割合には容積率と建蔽率の2つがありますが、カーポートやガレージなどの車庫も床面積の対象となります。
こちらでは、カーポートやガレージなどの車庫の床面積が建蔽率の対象になる場合とならない場合、建蔽率の緩和について、分かりやすく解説していきます。
建蔽率とは
建蔽率とは 『建築物の建築面積の敷地面積に対する割合』 のことです。
建築面積とは、建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積のことで、基本的には住宅の1階部分の面積が該当します。
建蔽率を計算式で表すと以下になります。
例えば、建築面積70㎡、敷地面積150㎡の容積率は
となります。
建蔽率は、住宅を立てる用途地域ごとに制限が設けられており、制限されている建蔽率を超えて住宅を建てることができません。
例えば、敷地面積130㎡、建蔽率50%の場合、
となり、建築面積65㎡までの住宅しか建築してはいけないことになります。
ただし、土地が防火地域であったり角地の場合は、この建蔽率が緩和されることもあります。
建蔽率の延床面積に車庫の床面積は含まれる?
建蔽率は、建築物の建築面積が対象ですが、自動車車庫は、建築基準法第二条第二号で「特殊建築物」に分類され、建築面積の対象となります。
ただし、すべての延床面積が含まれるのではなく、車庫には容積率の緩和が設けられています。
車庫の種類
車庫といっても以下のようにさまざまなものがあります。
- ビルトインガレージ
- カーポート
- 独立した車庫
建築基準法施行令では、「自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分」を「自動車車庫等部分」といい、用途に供する部分としか定義されていません。
つまり、構造や形式は関係なく、建物に付属するビルトインガレージや柱・屋根で形成されるカーポートなども車庫として利用すれば、「自動車車庫等部分」に該当します。
自動車車庫の建蔽率の緩和
高い開放性を有するカーポートは、車庫の面積の一部が算入されないという建ぺい率の緩和措置があります。
高い開放性を有すると認めて指定する構造(建設省告示第1437号)
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第二号の規定に基づき、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造は、次に掲げるものとする。
- ① 外壁を有しない部分が連続して4m以上であること
- ② 柱の間隔が2m以上であること
- ③ 天井の高さが2.1m以上であること
- ④ 地階を除く階数が1であること
こちらの4つの条件を満たしている場合は、カーポートの柱から1m以内の部分まで建築面積から算入されずに緩和されます。
カーポートは4つの条件を満たすため建蔽率の緩和措置が受けられますが、外壁に囲まれているガレージの場合は、「①外壁を有しない部分が連続して4m以上であること」の条件を満たさないため建蔽率の緩和措置の対象外となります。
ちなみに、ガレージの場合は、三方壁に囲まれているため床面積が固定資産税の対象となります。
車庫の建蔽率緩和を受けるための条件は、特に必要ありません。
バイクや自転車置き場も緩和の対象
自動車に限らず自動二輪車のバイクや自転車置き場も容積率緩和の対象となります。
また、車庫に入るまでの経路を誘導車両と言いますがが、こちらも建蔽率の緩和対象です。