熱の伝わり方には、「放射(輻射)」「伝導」「対流」の3つがあり、輻射熱はその中の1つです。
こちらでは、輻射熱について簡単に説明していきます。
輻射熱とは?
輻射とは、物体が発する熱が電磁波となって伝わる現象のことです。
例えば、太陽の光も電磁波の一種で、太陽の光が暖かいと感じるのは。この輻射によるものです。
そして、温度の高い物体から放出される電磁波を受けて生じる熱のことを輻射熱といいます。
つまり、電磁波の形で伝わる伝わり方が「輻射」で、その熱が「輻射熱」ということです。
輻射熱は、放射熱や熱輻射とも呼ばれ、全ての物体が電磁波を出しており、人間の体からも放出されています。
輻射熱の特徴
輻射熱には、大きく以下の3つの特徴があります。
- 真空でも熱が伝わる
- 温度が高い物体から低い物体へ熱が伝わる
- 360度移動する
真空でも熱が伝わる
輻射熱は、空気やその他の気体の存在に関係なく、真空でも伝わるのが特徴です。
宇宙空間が真空でも、太陽の熱は、輻射によって地球に伝わります。
温度が高い物体から低い物体へ熱が伝わる
輻射熱は、温度が高い物体から低い物体へ熱が伝わるのが特徴です。
焚火に近づくと熱く感じるのは、火の熱が体温より高いからです。
逆に、トンネルの中に入るとひんやりするのは、トンネルの壁が体温より低く、体の熱が低温の壁へ移動するためです。
このように熱を吸収すると暖かく感じ、放出すると涼しく感じるのは、温度が高い物体から低い物体へ熱が伝わる現象によるものです。
この原理を利用した空調システムには、輻射冷暖房システム(輻射パネル)があります。
エアコンは空気の対流で熱を伝えますが、輻射冷暖房システム(輻射パネル)は輻射熱を利用して、物体(床・壁・天井・人)に直接熱を伝える空調システムです。
360度移動する
輻射熱は、物体から360度どの方向へも移動するのが特徴です。
エアコンを使うと暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降するため、室内で温度差が生じます。
しかし、輻射を利用した輻射冷暖房システム(輻射パネル)では、360度輻射熱が移動するため、室内の温度が均一になりやすいです。