乾太くんの給気口サイズを間違えると、空気不足で玄関ドアが開かなくなることに!
特に高気密住宅では、乾太くんの稼働中に玄関ドアが開かずに苦労するという話をよく耳にしますが、それはしっかり給気計画を立てていないからです。
記事の内容
- 乾太くんの排気量(排湿量)は、150.8~336m3
- 乾太くんの排気量(排湿量)は、レンジフードの中運転レベル
- リンナイ公式の乾太くんの給気口面積は、排湿管の断面積以上
- 給気口面積は、排湿管の断面積ではなく、有効換気面積で考える
- 我が家で採用した差圧式給気レジスターは、「SPITS-150V」
このページでは、乾太くんに適した給気口サイズの求め方と、我が家で採用している差圧式給気口の紹介をします。
気密性が高い住宅ほど、顕著に弊害が見えていきますので、高気密住宅を計画中の方は参考にされてください。
乾太くんの給気口はなぜ必要?
乾太くんは、燃焼時のガスや衣類乾燥中に放出される湿気を排湿筒から排出させますが、放出させる排湿量と同量の空気を室内に給気してあげなければいけません。
もしも、乾太くんの給気口がなければ、レンジフードの排気口や換気用レジスターの給気口、空気が逆流してきます。
それでも給気量が足りない場合は、気密性の低い住宅では、家の至る所の隙間から空気が逆流し、気密性の高い高気密住宅になると、家の隙間が小さいので、室内が「負圧」の状態となります。
中身が空の紙パックのジュースをストローで吸い続けると、紙パックがつぶれますよね?あれが「負圧」の状態で、住宅の中心に玄関ドアが引っ張られた状態となるため、玄関ドアが開かなくなると言うわけです。
高断熱高気密住宅の場合は、第一種換気システムを採用されることが多いので、換気システムの排気口・給気口以外のところ(レンジフード、トイレ・浴室の換気扇など)から逆流してきます。
さらに、IHクッキングヒーター限定ですが、室内で給排気を完結させる同時給排式レンジフードを採用する高断熱高気密住宅もあります。
そうなると、どこからも給気することができず、乾太くんの排気ファンが過負荷になり、正しく排湿されなければ、機器内部の過熱防止装置が作動してエラーを表示されることにもなりかねません。
そうならないためにも、乾太くんには、排湿量と同量の給気口が必要というわけです。
乾太くんの排気量(排湿量)は?
乾太くんの給気口が必要な理由が理解できたら、次は、乾太くんがどれぐらい排気(排湿)するのかを確認していきます。
排気量(排湿量)は、乾太くんの乾燥容量やコースなどで異なりますが、実際にリンナイに問い合わせて確認した乾太くんの排気量(排湿量)は以下の通りです。
型式 | 乾燥容量 | 乾燥時間 | 電気周波数 地域 |
排気量 (m3/min) |
排気量 (m3/hour) |
排気量 (m3) |
---|---|---|---|---|---|---|
RDT-80 | 8kg | 80分 | 50Hz | 3.7m3/min | 222m3/h | 296m3 |
RDT-80 | 8kg | 80分 | 60Hz | 4.2m3/min | 252m3/h | 336m3 |
RDT-52SA | 5kg | 52分 | 50Hz | 2.9m3/min | 208.6m3/h | 150.8m3 |
RDT-52SA | 5kg | 52分 | 60Hz | 2.9m3/min | 208.6m3/h | 150.8m3 |
例えば、スタンダード8kgタイプでは、1時間に約250m3の空気が外部に排気されます。
ちなみに、パナソニック製レンジフードのある型の換気風量を調べると以下のようになります。
- 強運転:420m3/h
- 中運転:300m3/h
- 弱運転:220m3/h
- 常時:130m3/h
つまり、乾太くんの排気量は、レンジフードの中運転ぐらいの空気が排気されるということです。
住宅の換気量で、平均的な住宅の1時間あたりの換気量は150m3/hという文言がよく使われますが、イメージとして、乾太くんを使用する際は、それ以上の給気量が必要だということが分かります。
住宅の給気量以上で、かつレンジフード並みの排気量となるため、
室内の空気が乾太くんから排出されれば、せっかく暖めた(冷やした)空気を外へ捨ててしまうことになるため、給気口を設ける場合は、そのあたりも考慮して計画しなければいけません。
乾太くんの給気口面積
それでは、どれぐらいの給気口の大きさがあればよいかについて説明していきます。
乾太くんの公式取付マニュアルでは「給気口面積は排湿管の断面積以上としてください。」と記載されていました。
排湿管の径 | 給気口面積 (排湿管の断面積) |
---|---|
φ80 | 50.2㎠ |
φ100 | 78.5㎠ |
こちらは、リンナイから提供されている給気面積参考値ですが、KP管を使用した場合の給気面積参考値となっています。
KP管とは、天井裏など隠蔽部に排湿管を設置する場合に使用されるダクトで、高気密住宅に設置する場合も推奨されています。
一番心配していた乾太くんとのドッキング。
ドンピシャでハマって、業者さんがめっちゃ安堵してた。
ハマらなかった時の対策を何も考えていなかったらしい😗#乾太くん#リンナイ#衣類乾燥機#分離発注#新築工事 pic.twitter.com/kxKC4LgZzY— 高断熱高気密住宅なんて建てたことがないおじいちゃん大工さんたちと家を建てる (@6th_Genjiro) March 29, 2023
KP管はオプション品のため、一般的に設置される乾太くんは何も指定しなければ、蛇腹の排湿管セット(アルミフレキ)で取り付けられます。
乾太くん設置に伴い、スリーブとガス栓だけお願いしていたら配管までしてくれてた😳
あれ、ここまで出来てたら自分で設置できそうでは?
逆流防止ダンパーだけつけたいけど、単品で買えばつけられるのかしら。教えて詳しい人👦 pic.twitter.com/kHrNLp4lwE
— ぱなヤシブ@パナ (@pana_yashibu) May 30, 2023
こちらの排湿管セットもパイプフードは同サイズのものを利用するので、排湿管の径φ80なら給気口面積は50.2㎠、φ100なら78.5㎠となります。
この給気口面積は、排湿管の径から算出した円の面積です。
- φ80:4cm×4cm×3.14=50.24㎠
- φ100:5cm×5cm×3.14=78.5㎠
リンナイの見解としては、排湿管の大きさと同等以上の大きさの給気口があれば、十分給気されるだろうという考えだと思います。
しかし、乾太くんの公式取付マニュアルを額面通り受け取って、「排湿管の断面積以上」だからφ80なら同サイズ(φ80)の給気口を設けようと考えている人は要注意です。
有効換気面積
リンナイの給気面積参考値は、あくまでダクト内で空気が通る面積のことです。
φ80のダクトの中は遮るものがないので、空気が通る面積は50.24㎠ですが、給気口(給気レジスター)には、グリル付きのカバーやフィルターが付いているものもあります。
グリルやフィルターが空気の通りを邪魔するので、実際に空気が通る面積は小さくなります。
そのため、販売しているメーカーは、実際に空気が通る面積として、有効換気面積(換気有効面積)を公開しているところもあります。
例えば、こちらはパナソニックの「VB-GZ100P」という給気レジスターです。
こちらの給気レジスターの適用ダクト径はφ100ですが、仕様書には、有効換気面積23.5㎠となっていました。
「VB-GZ100P」の形状を見ても分かりますが、給気される部分の面積がかなり小さいことが分かります。
こちらは、乾太くんの標準のパイプフードです。
排湿量を排気される断面積で見るのなら、乾太くんのパイプフードの有効排気面積以上必要ということですが、図面や設置工事説明書には、記載されていませんでしたので、φ80なら50.24㎠、φ100なら78.5㎠以上の有効換気面積がある給気レジスターを選択すれば問題ありません。
我が家が採用した給気レジスター
ちなみに我が家が採用した給気レジスター(差圧式給気口)は「SPITS-150V」で、適用パイプサイズはφ150です。
有効換気面積はフィルターなしで54㎠ですが、花粉などをキャッチするフィルターを取り付けているので、フィルター付きの有効換気面積は44㎠となります。
乾太くんのダクトはφ80を使用していますので、50.24㎠>44㎠で若干給気量が足りない計算となります。
我が家の場合は、C値0.0(0.006)で、第一種換気・レンジフードなしのため、給気させる隙間がほぼありません。
そのため、玄関のドアハンドルの隙間から給気されており、それでも足りないので室内が負圧となっており、玄関ドアが開けにくい状態です。
計算上足りないので、そうなることは想定内なのですが、子供が重度のアレルギー持ちで、特に花粉関係は計測不能ぐらいの数値がでます。
乾太くんにエラーが起きるなど不具合が発生した場合は、フィルターなし(有効換気面積54㎠)で対応しようと考えていましたが、今のところ乾太くんのエラーは起きていないので、フィルター付きで使用しています。
こちらの詳細については、後日記事に書く予定です。
まとめ
ここまで、乾太くん給気口サイズについて説明してきました。
乾太くんの排気量はレンジフード並みの風量が必要です。
そのため、専用の給気口を設ける必要があります。
給気口のサイズを決める際は、ダクトサイズではなく、有効換気面積から給気量を求めましょう。