乾太くん給気口サイズは有効換気面積から!知らないと失敗します!

乾太くんの給気口サイズを間違えると、空気不足で玄関ドアが開かなくなることに!

特に高気密住宅では、乾太くんの稼働中に玄関ドアが開かずに苦労するという話をよく耳にしますが、それはしっかり給気計画を立てていないからです。

記事の内容

  • 乾太くんの排気量(排湿量)は、150.8~336m3
  • 乾太くんの排気量(排湿量)は、レンジフードの中運転レベル
  • リンナイ公式の乾太くんの給気口面積は、排湿管の断面積以上
  • 給気口面積は、排湿管の断面積ではなく、有効換気面積で考える
  •  我が家で採用した差圧式給気レジスターは、「SPITS-150V」
【この記事を書いた人】
建築業界に携わってきた建築士・宅建士・建築積算士・被災建築物応急危険度判定士。
自宅は分離発注で、自分で現場管理。気密や断熱を知らないおじいちゃん大工さんたちと高断熱高気密住宅を建ててみた結果→C値:0.0(中間時:0.025、完成時:0.006)
本質を知りたがり症候群のため、マニアックな内容が多し。
電子工作やIoTデバイス製作に没頭中。室内環境をフルオートで管理するのが目標。
■できているもの■太陽光日射角度からのブラインド自動開閉制御(リアルタイム)。(市販のものは明るさから制御するやつで、結構おおざっぱで本来の日射遮蔽の役割を果たしていない)
■今作っているもの■室内温度・湿度リアルタイムモニタリングからの冷暖房自動制御。
結露の非定常計算。外気・室内の温度・湿度からリアルタイムで結露計算をして、冷暖房自動制御と連動。

このページでは、乾太くんに適した給気口サイズの求め方と、我が家で採用している差圧式給気口の紹介をします。

気密性が高い住宅ほど、顕著に弊害が見えていきますので、高気密住宅を計画中の方は参考にされてください。

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乾太くんの給気口はなぜ必要?

乾太くんは、燃焼時のガスや衣類乾燥中に放出される湿気を排湿筒から排出させますが、放出させる排湿量と同量の空気を室内に給気してあげなければいけません。

もしも、乾太くんの給気口がなければ、レンジフードの排気口や換気用レジスターの給気口、空気が逆流してきます。

それでも給気量が足りない場合は、気密性の低い住宅では、家の至る所の隙間から空気が逆流し、気密性の高い高気密住宅になると、家の隙間が小さいので、室内が「負圧」の状態となります。

中身が空の紙パックのジュースをストローで吸い続けると、紙パックがつぶれますよね?あれが「負圧」の状態で、住宅の中心に玄関ドアが引っ張られた状態となるため、玄関ドアが開かなくなると言うわけです。

高断熱高気密住宅の場合は、第一種換気システムを採用されることが多いので、換気システムの排気口・給気口以外のところ(レンジフード、トイレ・浴室の換気扇など)から逆流してきます。

https://item.rakuten.co.jp/jyusetu-komatsuya/251761/

さらに、IHクッキングヒーター限定ですが、室内で給排気を完結させる同時給排式レンジフードを採用する高断熱高気密住宅もあります。

そうなると、どこからも給気することができず、乾太くんの排気ファンが過負荷になり、正しく排湿されなければ、機器内部の過熱防止装置が作動してエラーを表示されることにもなりかねません。

そうならないためにも、乾太くんには、排湿量と同量の給気口が必要というわけです。

乾太くんの排気量(排湿量)は?

乾太くんの給気口が必要な理由が理解できたら、次は、乾太くんがどれぐらい排気(排湿)するのかを確認していきます。

排気量(排湿量)は、乾太くんの乾燥容量やコースなどで異なりますが、実際にリンナイに問い合わせて確認した乾太くんの排気量(排湿量)は以下の通りです。

型式 乾燥容量 乾燥時間 電気周波数
地域
排気量
(m3/min)
排気量
(m3/hour)
排気量
(m3)
RDT-80 8kg 80分 50Hz 3.7m3/min 222m3/h 296m3
RDT-80 8kg 80分 60Hz 4.2m3/min 252m3/h 336m3
RDT-52SA 5kg 52分 50Hz 2.9m3/min 208.6m3/h 150.8m3
RDT-52SA 5kg 52分 60Hz 2.9m3/min 208.6m3/h 150.8m3

例えば、スタンダード8kgタイプでは、1時間に約250m3の空気が外部に排気されます。

ちなみに、パナソニック製レンジフードのある型の換気風量を調べると以下のようになります。

  • 強運転:420m3/h
  • 中運転:300m3/h
  • 弱運転:220m3/h
  • 常時:130m3/h

つまり、乾太くんの排気量は、レンジフードの中運転ぐらいの空気が排気されるということです。

住宅の換気量で、平均的な住宅の1時間あたりの換気量は150m3/hという文言がよく使われますが、イメージとして、乾太くんを使用する際は、それ以上の給気量が必要だということが分かります。

住宅の給気量以上で、かつレンジフード並みの排気量となるため、

 

室内の空気が乾太くんから排出されれば、せっかく暖めた(冷やした)空気を外へ捨ててしまうことになるため、給気口を設ける場合は、そのあたりも考慮して計画しなければいけません。

乾太くんの給気口面積

それでは、どれぐらいの給気口の大きさがあればよいかについて説明していきます。

乾太くんの公式取付マニュアルでは「給気口面積は排湿管の断面積以上としてください。」と記載されていました。

KP管を使用した場合の給気面積参考値
排湿管の径 給気口面積 (排湿管の断面積)
φ80 50.2㎠
φ100 78.5㎠

こちらは、リンナイから提供されている給気面積参考値ですが、KP管を使用した場合の給気面積参考値となっています。

KP管とは、天井裏など隠蔽部に排湿管を設置する場合に使用されるダクトで、高気密住宅に設置する場合も推奨されています。

KP管はオプション品のため、一般的に設置される乾太くんは何も指定しなければ、蛇腹の排湿管セット(アルミフレキ)で取り付けられます。

こちらの排湿管セットもパイプフードは同サイズのものを利用するので、排湿管の径φ80なら給気口面積は50.2㎠、φ100なら78.5㎠となります。

この給気口面積は、排湿管の径から算出した円の面積です。

  • φ80:4cm×4cm×3.14=50.24㎠
  • φ100:5cm×5cm×3.14=78.5㎠

リンナイの見解としては、排湿管の大きさと同等以上の大きさの給気口があれば、十分給気されるだろうという考えだと思います。

しかし、乾太くんの公式取付マニュアルを額面通り受け取って、「排湿管の断面積以上」だからφ80なら同サイズ(φ80)の給気口を設けようと考えている人は要注意です。

有効換気面積

リンナイの給気面積参考値は、あくまでダクト内で空気が通る面積のことです。

φ80のダクトの中は遮るものがないので、空気が通る面積は50.24㎠ですが、給気口(給気レジスター)には、グリル付きのカバーやフィルターが付いているものもあります。

グリルやフィルターが空気の通りを邪魔するので、実際に空気が通る面積は小さくなります。

そのため、販売しているメーカーは、実際に空気が通る面積として、有効換気面積(換気有効面積)を公開しているところもあります。

例えば、こちらはパナソニックの「VB-GZ100P」という給気レジスターです。

こちらの給気レジスターの適用ダクト径はφ100ですが、仕様書には、有効換気面積23.5㎠となっていました。

「VB-GZ100P」の形状を見ても分かりますが、給気される部分の面積がかなり小さいことが分かります。

こちらは、乾太くんの標準のパイプフードです。

排湿量を排気される断面積で見るのなら、乾太くんのパイプフードの有効排気面積以上必要ということですが、図面や設置工事説明書には、記載されていませんでしたので、φ80なら50.24㎠、φ100なら78.5㎠以上の有効換気面積がある給気レジスターを選択すれば問題ありません。

 

我が家が採用した給気レジスター

ちなみに我が家が採用した給気レジスター(差圧式給気口)は「SPITS-150V」で、適用パイプサイズはφ150です。

有効換気面積はフィルターなしで54㎠ですが、花粉などをキャッチするフィルターを取り付けているので、フィルター付きの有効換気面積は44㎠となります。

乾太くんのダクトはφ80を使用していますので、50.24㎠>44㎠で若干給気量が足りない計算となります。

我が家の場合は、C値0.0(0.006)で、第一種換気・レンジフードなしのため、給気させる隙間がほぼありません。

そのため、玄関のドアハンドルの隙間から給気されており、それでも足りないので室内が負圧となっており、玄関ドアが開けにくい状態です。

計算上足りないので、そうなることは想定内なのですが、子供が重度のアレルギー持ちで、特に花粉関係は計測不能ぐらいの数値がでます。

乾太くんにエラーが起きるなど不具合が発生した場合は、フィルターなし(有効換気面積54㎠)で対応しようと考えていましたが、今のところ乾太くんのエラーは起きていないので、フィルター付きで使用しています。

こちらの詳細については、後日記事に書く予定です。

まとめ

ここまで、乾太くん給気口サイズについて説明してきました。

乾太くんの排気量はレンジフード並みの風量が必要です。

そのため、専用の給気口を設ける必要があります。

給気口のサイズを決める際は、ダクトサイズではなく、有効換気面積から給気量を求めましょう。

建築士・宅地建物取引士・建築積算士・被災建築物応急危険度判定士・SEOコンサルタント

分離発注で家建築。
「気密?知らん。気密は秘密」と笑ってギャグを飛ばすおじいちゃん大工さんたちと独学で高断熱高気密住宅を建ててみた。
【結果】
C値:0.0(中間時:0.025、完成時:0.006)

気密処理はすべて自分で行いました。
丁寧に気密処理をすれば、素人がやってもしっかり気密が取れます。

Arduino・RaspberryPi・EPS32など電子工作が好き。
室内環境をフルオートで管理するのが目標。
月100万PV↑サイト運営とかSEO対策も得意。(証拠
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